夕日が窓から流れ込む放課後。
ベッドには長く二人の影が伸びていた。
隣り合い、寄り添う影は部屋の住人と、住人の親友のもの。
片方は美しい黒髪を腰まで伸ばしていて、片方は癖のある茶色の髪をショートカットにしていた。
他愛もない会話。
今日の授業の話や友達が話していた笑える話、噂話…
様々な話が尽きる事なく紡がれる愛らしい唇は、止まる事を忘れてしまったかの様だ。
「それで、その後どうなったの?」
「さあな?まだ返事をしてないからなんとも言えないな」
話題のネタは黒髪美少女が貰ったラブレターに及んでいた。
勿論彼女にそのラブレターの人物と付き合う気は甚だない。
しかしその恋文を親友と見て鼻で笑い飛ばす趣味はある。
それはまるで幼い子どもが蟻を捕まえて手足や触覚をむしり取り遊ぶように残酷な遊びだ。
相手が一生懸命書いた文を、『有り得んな』と鼻で笑い、そして親友にも見せて笑う。
彼女の片口を上げて笑う残酷な顔は、まるで月光に佇む月の女神だ。
そんな彼女を一応たしなめる親友の少女は、さながら太陽の女神と言った所か…
太陽の暖かい陽射しとは裏腹に、熱すぎるて近寄る物を焼き殺しかねない熱は、彼女そのものにも当てはまる。
「君は残酷だね」
「お前程じゃないさ」
太陽が月にそう呟くと、月は太陽が予想していなかった言葉を返してきた。
意味が分からない…
そんな顔で癖っ毛の少女は黒髪の少女を見つめ返す。
二人の視線が絡み合い、沈黙が部屋に満たされた。
そして癖っ毛の少女の視界が急に天井を向かされる。
否、半分は彼女が自主的に向いたのも有るのかも知れない。
黒髪の少女に癖っ毛の少女を押し倒す程の腕力は無いのだ。
不意に癖っ毛の少女の肩を両手で掴み、そのまま太ももに座るように雪崩れ込み押し倒す。
揺れる黒髪と少女自身が、癖っ毛の少女には映画のワンシーンの様な綺麗な映像をスローモーションで見ている気分だった。
「どうしたの、ルルーシュ?」
ルルーシュと呼ばれた黒髪の少女は、無言のまま癖っ毛の少女に口付ける。
ただ唇を触れさせるだけの稚拙なキスに、癖っ毛の少女は目を見開いて黒髪の少女、ルルーシュを見てしまった。
「ねぇ、どうしたの、突然…」
困惑の色を浮かべた翡翠の瞳が、答えない相手に対して同じ質問を繰り返す。
しかし答えは返ってこないまま、黒髪の少女は再度癖っ毛の少女に口付けた。
「何がしたいの?」
「…………………」
2回目のキスから解放されてから、癖っ毛の少女が黒髪の少女に尋ねたが、黒髪の少女は答えを出さないままで俯き、目を逸らしてしまう。
キスをしたは良いが、次にどうして良いのか、黒髪の少女は全く考えていなかったらしい。
「僕が折角抑えててあげたのに、君から壊しに来るなんてね…そのまま食べちゃうよ?」
不意に癖っ毛の少女の口元が妖しい笑いを浮かべると、体の向きを変え、黒髪の少女を下に組み敷いてしまう。
急に反転させられて、今度は黒髪の少女が戸惑う番だ。
キョロキョロと戸惑い揺れるアメジストの瞳を安心させようと、癖っ毛の少女は黒髪の少女の顔を覆い被さる様に優しく抱きしめる。
「スザク、苦しい…」
「このまま窒息死でも良いよ?僕の腕の中で死んでくれるなら本望だけど?」
そう言いながら微笑む癖っ毛の少女の目には微塵も冗談の色は見えていない。
「でも、殺したら不味いよね」
そう言いながら癖っ毛の少女は黒髪の少女を抱きしめる腕を緩めてやった。
先程まで少ししか呼吸が出来ていなかったのか、黒髪の少女は緩められた瞬間に大きく深呼吸をしてしまうぐらいだった。
「殺す気か!?」
「許可が出るなら。
君はさっき僕に残酷だと言ったよね?
それならば君はもっと残酷だよ。
君は僕の気持ちに気付いてる?
気付いてたらラブレター見せて来ないかな?
僕が君が他人からラブレターを貰ったのを見て嫉妬してるのに、君ときたら感じ取らないんだもの」
僕のものにしたかったんだ、幼い頃からずっと…
癖っ毛の少女が黒髪の少女の耳元で囁くと、黒髪の少女はゾクリと身体を震わせる。
狂気にも似た独占欲。
今まで親友だと思っていた友人が突然知らない他人に見えた…
「ねぇ、処女、貰って良い?」
癖っ毛の少女は黒髪の少女の太ももに指を沿わせ、乱れているスカートの中に手を伸ばす。
そして黒髪の少女の脚の付け根に指を這わせた。
ゆっくりと、優しく、まるで壊れ物に触るかの様に…
下着の上から触られているだけなのに、黒髪の少女は切な気な溜め息を漏らす。
「気持ち良いの?気持ち悪いの?」
「きもち…わる…い」
今まで体験したことの無い未知なる感覚を、黒髪の少女は気持ち悪い物と判断したようだ。
「気持ち悪いの?ふぅん。
じゃあ気持ち良くなるようにこれから教えてあげないとね。
僕が開拓してあげる」
癖っ毛の少女の手は黒髪の少女の身体のラインに沿って上へと登っていく。
そして強く、手のひらに収まる形の良い黒髪の少女の胸を掴んだ。
「やめっ…痛いっ…」
苦痛に歪む顔を黒髪の少女が見せれば見せる程、癖っ毛の少女の唇の端は上がっていく。
目元が笑っていない分、恐怖を伴っているのを本人は気付かずに…
「綺麗だね、ルルーシュ…まだ誰も踏み入れてない場所に僕が最初に踏み入れれるなんて、凄く嬉しい…」
「…………お前…おかしい…」
そう黒髪の少女が呟けば、癖っ毛の少女は君がそうさせたんでしょ?と返してくる。
癖っ毛の少女は黒髪の少女の胸を両手で緩急を付けながら揉みしだきつつ、黒髪の少女の右足を跨ぐように座ったその脚の膝で少女の秘密の場所をぐりぐりと刺激していた。
「もうやめ…あっ…あっ…」
黒髪の少女の手足は、標本箱に縫い付けられた蝶の様に動けずにいた。
ただ癖っ毛の少女が与える初めての刺激に喘ぐのみだ。
「聞こえる?ぐちゃぐちゃ言ってるよ、君の此処…」
わざと聴かせるように先程より激しく癖っ毛の少女が膝を動かすと、湿った音が部屋に響き渡る。
「もぉ…いや…ぁっ…」
黒髪の少女の泣きそうな声に、癖っ毛の少女は更に加虐心を煽られていく。
「中はどうなってるの?」
そう言いながら膝を離すと、下着が吸いきれなかった黒髪の少女の愛液が癖っ毛の少女の膝を濡らしていた。
「黒の紐パンがびしょ濡れだ。後で脱がせるのが楽しみだね」
そして癖っ毛の少女の指は下着の隙間から黒髪の少女の花芯に辿り着く。
癖っ毛の少女が親指で円を描くように其処に触れると、黒髪の少女の身体が大きく跳ねた。
布越しの刺激より、直に触られた刺激は、思いの外強かったらしい。
「やめろと…やめろと言ってるのが…聞こえないのか…?」
途切れ途切れのその声は、吐息に濡れて艶かしい。
「もう入るんじゃない?」
癖っ毛の少女は黒髪の少女の声を無視し、人差し指をとっぷりと濡れた黒髪の少女の花弁に侵入させた。
「あっ…やめ…辞めろ、スザク…」
「こんだけ濡れてたら大丈夫でしょ?」
「あっ…ァん…ん…」
癖っ毛の少女は黒髪の少女の中を円を描くように動かしたり、引っ掻いてみたりと、好き勝手に指を動かして行く。
「こう触ると気持ちよくない?」
そう言いながら癖っ毛の少女は指を増やし、中を掻き混ぜながら黒髪の少女の花芯を同時に蹂躙してゆく。
ぐちゅぐちゅと湿った音と、黒髪の少女の短い喘ぎ声、そして癖っ毛の少女の熱い吐息が空気に飽和仕切れずに溢れかえっている。
「くる…なんか、くるっ…やだっ!離して!!!!」
黒髪の少女は細い身体を盛大に震わせていた。
ベッドのシーツは愛液でぐちゃぐちゃになっている。
「やだって…言ったのに…」
黒髪の少女の目からははらはらと真珠の様な涙がこぼれ落ちた。
放心した彼女は、もう全く動く気力は残っていない。
「謝らないから、絶対に」
癖っ毛の少女は動けない黒髪の少女の身体に抱き付くと、黒髪の少女の耳元でそう囁く。
モウ、ニゲレナイ…
黒髪の少女の頭にそんな文字が浮かぶのと、癖っ毛の少女が口元だけで微笑むのは同時で…
でも互いが脳内で紡ぐは同じ言葉…
君には…
お前には…
絶対に分からない…
その本心を互いが知るのは、これよりももう少し後のお話…
=終=
**あとがき**
にょた×にょたに初挑戦でした(笑)
ちょっとはまりそうです。
2009.04.19